生物部 第62回日本生態学会大会にて審査員特別賞を受賞!
2015.04.08
3月21日に鹿児島大学で開催された第62回日本生態学会大会高校生ポスター発表に生物部員8名で参加しました。生物では3件のポスター発表を行い、1件が審査員特別賞を、2件がナチュラルヒストリー賞を受賞しました。生態学会は4000名を超す専門家が入会しています。生徒達の発表にも多くの専門家の方が集まり、様々なアドバイスをしてくれました。生徒達も様々な刺激をもらったようです。学会後、ホテルに戻った際には一室に皆で集まり、研究の反省、今後どのように研究を進めて行くかを生徒同士で話し合っていました。外部で発表するのは勇気のいることではありますが、その分、学べることは多々あることを再認識しました。これからも自分たちで研究を進め、どんどん外部に向けて発表して成長してもらいたいです。
・審査員特別賞
「植生の異なる環境でのバッタ類の種組成と多様度の比較」
千代田創真(新高2)
概要:埼玉県内の植生の異なる草原で一定面積内のバッタを捕まえて、種類とその数を数を調べた。種類とその数からシャノン指数という多様度を示す値を算出し、どのような草原環境でバッタの多様度が高くなるのかを比較した。その結果、植生間でのバッタ類の多様度の違いは小さく、バッタ類の多様度が高い場所は生息環境の面積が大きいことが考えられた。生物の多様性がどのように創出されるかを明らかにすることに貢献する研究である。
・ナチュラルヒストリー賞
「埼玉県内におけるアライグマの生息状況〜爪痕調査から考えたこと〜」
河野哲(新高3)、角田周平(新高2)、他校の生徒7名の共同研究
概要:埼玉県の高校12校と連携して、埼玉県内の寺社の柱についている爪痕からアライグマの生息状況を調べた。その結果を、QGISという地理情報システムソフトを用いて、爪痕の情報と土地利用を情報を地図上に落とし込みデータをまとめた。埼玉県の北部や西部など森林と農地があるところではアライグマの生息が多いことが考えられた。特定外来生物でアライグマがどのように分布を広げ、どのような場所に生息するのかを明らかにすることに貢献する研究である。また、他校の生徒との共同研究の面白さ、情報連携の難しさなど様々な事を学べた研究であった。
「寺社の爪痕調査からみた新宿区における食肉目の生息状況」
角田周平(新高2)、河野哲(新高3)、縄田一樹、沖田嵩樹、吉野舜太郎(新高1)、大塚悠宇馬(新中3)、黒田峻平(新中2)
概要:都心にはどのような食肉目が生息しているのか?という疑問から始まった中学生を中心とした研究で、113の寺社の柱の爪痕を調査した。その結果、新宿区にはハクビシンが多く、アライグマは少ないことがわかった。また、QGISを用いて解析したところ、ハクビシンの爪痕がある場所は、爪痕がない場所に比べて緑地と水辺に有意に近いことが考えられた。
発表の様子
中学1年生、2年生の生徒(当時)も積極的に研究の発表をしていました。
多くの方が発表を観に来てくれました。
審査員特別賞の受賞、おめでとう!
良いチームワークでした。113の寺社を回り、足でデータを集めました。QGISを使いこなしたのも凄かったです。
発表後は桜島で自然観察をしました。
江戸、大正、昭和でそれぞれ大きな噴火があり、植生の遷移の進行を観察するのにとても良い場所でした。
遷移初期種であるススキやクロマツなどが多かったです。
その一方、ヒサカキといった遷移がかなり進んだあとに出てくる種もあり、必ずしも教科書通りに遷移が進むことではないことを学べました。